事例紹介
税理士法人ファーストの過去の事例をご紹介いたします。
会社設立
サラリーマンからの独立開業
Kさんは約10年間勤務した会社で得た商品知識や営業ノウハウを生かして工作機器の卸売業を開業したいと相談を持ち掛けて来られました。
一般的には法人運営の方が節税ができると、Kさんは株式会社を設立する意向ではありましたが、個人事業の場合とどれくらい税金が違ってくるのか疑問を抱いていました。
また、税金以外のことについて個人事業と法人運営でどのような違いが生じてくるのか漠然とした不安を感じておられました。
【事業にかける想い】
法人を設立するだけであれば、30万円ほどの設立費用と1か月程の準備期間が必要なだけで特別難しいことではありません。法人とは法律によって権利能力を与えられた「人」であり、その法人を作るということは自らの子供を作ることに他なりません。
目先の税金の多寡のみで個人か法人かをするのではなく、法人という自らの子供を作り、その法人で一体何を成し遂げたいのかということをKさんに投げかけました。そのように事業にかける想いをKさんに考えて頂き、そのうえで法人設立という意思決定をされました。
【税額シュミレーション】
税理士法人ファーストでは事業開始初年度の税額をシュミレーションする前に、商流や採算性、想定する顧客層、商品の調達先など、まずビジネスの内容の理解に努めます。
この理解がないまま絵に描いた餅のような事業計画を作り上げ、税金をシュミレーションしても意味がないからです。
Kさんからは丁寧にビジネスモデルをヒアリングし、想定される売上高や粗利、負担すべき人件費や経費などを積み上げの結果、どれくらいの利益が出そうなのか一つのモデルを作り上げました。
そうして作成された事業計画に基づき、個人と法人で税金や社会保険料がどのように違ってくるのか、また、資金繰りについてもシュミレーションを行いました。
また、事業計画は単に事実を積み重ねた結果ではなく目標であるべきであり、どのようにしてその目標を達成していけばいいのか今後一緒に考えていくことになりました。
【開業支援】
税理士法人ファーストは税務会計以外の専門家と提携関係にあり、Kさんの会社設立の際も司法書士と連携し1か月かからず設立にまで至りました。
また、Kさんは自分で日々の記帳を行うことを考えていましたが、慣れないことが多く事務処理もわからないことが多くあったため、設立当初は税理士法人ファーストが記帳代行をすることとなりました。その後事務員を採用し、業務ソフト導入支援や記帳指導をお手伝いさせて頂き、自計化に成功するに至りました。
相続
自らの相続税だけではなく、配偶者の相続税も考慮に入れた総合的な節税アドバイス
自らが死亡した後の相続税を心配されたAさんから相続税額のシュミレーションと節税のためのアドバイスの依頼をお受けしました。
Aさんは、配偶者に多くの財産を相続されれば税金が節税できるはずであると、妻に大半の財産を相続させた場合のシュミレーションを依頼してこられました。
【中長期的な節税の観点】
確かにAさんの仰るように、Aさんが亡くなった際の相続税のことだけを考えれば妻に多くの財産を相続させることで税金を抑えることができるかもしれません。
しかし、Aさんの妻が亡くなった時にかかる相続税のことまでを考えると必ずしもそうでないこともあります。
税理士法人ファーストでは、Aさんの遺産分割の内容を数パターン想定し、パターンごとに1次相続(Aさんの相続)、2次相続(Aさんの妻の相続)にかかる相続税を計算し、どのように遺産を分割するのかが中長期的に見てよいか判断してもらうことになりました。
また、Aさんには子供が3人おり、実際の相続の際にはAさんの思惑通り遺産分割が進まないことも想定されたため、提携する弁護士に繋ぎ、遺言の作成までスムーズにサポートすることができました。
事業承継
年商3億、従業員12名の製造業を営む法人の後継者Nさん(43歳)の方から事業承継に関してご相談を頂きました。
相談内容は「現社長は69歳の父親であるがバトンタッチの話が全く出てこない」、「息子の立場から引退を迫るような話を父親にすることには抵抗がある」、その一方で「このままいけば株式の承継で多額の税金が発生するのではないか」、「父親の健在のうちに代替わりをして従業員、得意先などをスムーズに承継していきたい」といったものでした。
【事業承継の必要性の認識】
税理士法人ファーストでは事業承継を進めるにはいくつかのステップがあると考えていますが、現経営者による事業承継の必要性の認識が大きな問題であると捉えています。そこでまずはNさんの会社へ訪問し、現社長を交えて事業承継についてどのように考えているのか、また、事業承継を進めていくとすれば一体どのような課題がありそうなのか事業承継診断を行いました。
その結果、まず事業承継はある日突然に完了するものではなく5年から10年くらいのスパンで成し遂げていくものであると感じて頂きました。
【事業承継上の課題の認識】
また、事業承継診断をすすめていくうちに以下の課題が浮き彫りになってきました。
- 後継者Nさんは入社以来主に製品企画や製造業務に携わっており、営業活動はほとんど行ったことがない
- Nさんより年上の古参従業員が多数おり、Nさんが会社を継いだ後うまく承継できるかどうか未知数である
- 株式の大部分は現社長が保有しており、純資産や毎年の利益の水準からこのまま相続となれば多額の相続税が発生する可能性がある
【事業承継計画の作成】
事業承継診断で浮き彫りになった課題に今後本気で対処していく必要があると現社長に感じて頂き、本格的なサポートの依頼を頂きましたが、現在の会社の税理士は長年お世話になっている経緯があるので変えたくないということでした。そのため税理士法人ファーストとは事業承継アドバイザー契約といったいわゆるコンサルティング契約を締結して頂くこととなりました。
そうして事業承継上の課題に対処するために、まずは縦軸に関係者(現社長、後継者、取引先など)を記載し、時系列を横軸にとり、いつ誰がどのようなことに取り組んで行くかを計画する事業承継計画を現社長、後継者Nさん、税理士法人ファーストの三者で作りこんでいく作業に取り掛かりました。
但し、この行動計画は当初作成した通りには実行できないこともありましたが、何度も計画修正を行い、その都度ブラッシュアップが行われていました。
また、事業承継計画にも織り込まれたことですが、株式の承継に多額の税負担が予想されたことから、株式譲渡にかかる納税猶予制度を適用し、シュミレーション段階ではありますがおよそ四千万円の税金の猶予を手続きをとりました。